大人の街、銀座

年の瀬。ビルのはざまにある東京・代々木の借家から、男性の白骨遺体が見つかった。病死とみられ、死後6年以上が過ぎているという。男性は借家で妻子と「幸せな家庭」を築いていたが、離婚して行方不明に。人知れず借家に戻って「孤独死」した。その後も誰に気づかれることなく、放置された。師走の悲しすぎる現実…。都会の人間関係の希薄さが浮かび上がる。(石井那納子)

偶然の発見 JR代々木駅から徒歩1分、雑居ビルに囲まれた谷間のような一角に借家はある。古い木造家屋の窓ガラスは割れ、屋内には落ち葉が舞い込んでいた。 今月2日、地権者の男性が借家に入ると、居間にはゴミや本、衣類が散乱し、それらに埋もれるように、洋服を着たままの白骨遺体が見つかった。 男性は約10年前から家賃を支払わなくなり、家具などを残して失踪(しっそう)したとみられていた。 ところが今年9月に父親から借家を遺産相続した地権者が、借家を建て替えようと下見に訪れ、偶然白骨遺体を見つけたのだ。「事情がよく分からない」。地権者は困惑するばかり。 警視庁原宿署は男性の弟を捜し出し、DNAのFX を行った。すると、遺体は失踪していたはずの男性と判明した。 昭和17年生まれ、生存していれば66歳。遺体の状況などから死後6〜8年経過しており、50代後半で亡くなったとみられる。

離婚と失踪 「なぜ、気づかなかったのか」。生まれたときから代々木に住み、男性と顔見知りだった自営業、石塚栄さん(70)は聞き込みに来た原宿署員から男性の死を伝えられ、後悔を募らせた。借家に男性が戻っていたことさえも気づいていなかった。 石塚さんらの話からは男性のもの悲しい人生が浮かんでくる。 男性は塗装工で、大工仕事も得意としていた。平成元年に結婚し、長女も生まれた。石塚さんが自宅の修繕を頼むと、長女を隣で遊ばせながら作業をしていた。「幸せな家庭を持つ父親そのものだった」 ところが、9年に離婚し、一人娘は妻に引き取られていった。独り身になり間もなく、男性を見かけなくなったという。家賃の支払いも途絶えた。男性は家族と離ればなれになった失意を抱え一時、姿を消したのか…。 約8年前には金を借りるため弟を訪ねたが、それ以降、親族とも音信不通に。捜索願が出されることもなかった。「幸せな家庭」を忘れられなかったのか、男性は借家に戻り、そして、ひっそりと死んだ。 「誰にもみとられなかったのか。そう思うとやるせない」 石塚さんは声を落とした。 原宿署は元妻と連絡を取ったが、元妻は男性が亡くなり6年以上が経過していた事実を18歳になった不動産 に知らせていないという。

「孤独死」して何年も遺体が発見されないケースはこれまでにも散見されてきた。高齢化社会が進み、今後も同じ傾向が続くと危惧(きぐ)されている。 独立行政法人「都市再生機構」が全国で管理する賃貸住宅での孤独死は平成11年度の207人から、18年度は517人と7年間で約2・5倍に急増している。 厚生労働省の調べによると、東京23区では16年度の孤独死は2718人だった。 16年4月には豊島区池袋のアパート解体現場から、布団の中で白骨化した遺体が発見された。遺体は昭和2年生まれの男性。室内には59年2月の新聞が残され、同じ月のカレンダーが張られていたことなどから、病死後、約20年間放置されていたとみられる。 新宿区でも約10年前、アパートで死後5年経過した白骨遺体が見つかった。同区が13年に実施した調査によると、高齢者の14・6%が「近所とほとんど付き合いがない」と回答しており、孤独死予備軍の存在が浮き彫りになっている。

評論家の外為 さんの話 「6年以上という長い間発見されずにいたことは信じがたいが、それが起きてしまうところに、東京をはじめ大都会が異常な状況にあると気付かなければいけない。親族が必死に探していたならまだしも、捜索願さえ出していないとは。孤独死は近代都市生活の盲点だ。人付き合いをわずらわしいと感じる若年層が増加傾向にある現状では、孤独死はひとり暮らしの高齢者だけの問題ではないといえる」

麻生太郎首相は19日、ハローワーク渋谷(東京都渋谷区・渋谷公共職業安定所)を訪れ、政府の雇用対策の実施ぶりを視察。10月末に派遣切りにあい、職業や住宅探しの相談に訪れていた若者(24)に「なんかありませんかね、っていうんじゃ、なかなか仕事は見つからないよ」と叱咤激励したことを、その後現場で、記者団に対して語った。ぶら下がり取材の詳細は以下のとおり。                 

−−厳しい雇用情勢のなかハローワークの現場を視察されて。 「求人と求職のところの現場の差がきわめてはっきりしてますね。やっぱり状況は求人の方が15%減ったという話がでてましたので、そこらのことはかたっぽは混んでる。かたっぽは混んでいない、目にはっきりわかるような感じにしたのが…。渋谷はまたほかのところと違う要素があるかもしれまけれど、少なくとも若い人が特に多い地域ではあるんですけど、いずれにしても求職というのはきわめて厳しい」 「ここで政府としてやっているので、さっさとできることからやろうということで、もうすでに住居の話やら、4日前、4日か5日前にすでにスタートしていますし、全国でもいわゆる、なに、促進事業団のところ、1万3000戸、すでに入居がきまったのは580件(18日現在548件)? すでにもうできるところからどんどんやっていますというところもありますし、企業に対し、いろいろ要請をするのは当然ですが、その上に、なに解雇、もしくは雇い止めになったというところをきちんとして、きちんとというか、対応するのは当然のこととして、それ以降、各地方公共団体で、一時そのひとたちを、というようなところがでてきている。そういうところに対しては、大いにそれをやってください、ということで、あとその分、経費がかかりますから、その分は特別交付税などなどで対応しますということで、できるところは、もうほとんどすべて、思いつく限りのことは、今やらしていただいているところなんで」 「今現実問題そういった話がきちんと下におりているかが問題なんだと、私はそう思っていましたんで、現実問題として、来てみると、やっぱりそこらのところは、ちゃんと、おとといからすでにかくかく来ているということは、少なくともこういうところにはすでにその指令が届いていることは、まあ、その雇用に対しての意識が、いわゆるハローワークの方もきちんと、その緊急対応ということで対応している。加えて役所が閉まったあとも、年末までやります、ということも地域においてかなりあるというのは、われわれとしてはいい方向だと思っています」 −−今、実際、端末、窓口をみられて。 「端末の窓口は少なくとも、昔と違って、ワンタッチ出せる画面というのは、字は大きいし、わかりやすくつくってあるなあ、と思ったんで、そこそこ、高齢者やあんまりその種のことになれていない人にも、わかりやすくつくってある。それは昔にくらべたら、えらい違い。ものすごく、昔に比べたら多々でてきますから、システムとして、昔に比べたら遙かによくなっているなあ、という感じはしましたね」 −−求職されている若者に話を聞かれていたが。 「北海道から出てきて、なんで出てきたといったら、友達っていう話をしてましたんで、友達といっしょに…といってましたんで、いままでやった仕事やらなにやら、ぜんぜん関係ない仕事、っていうんで、何を自分でしたいか決めないと、なんかありませんかね、っていうんじゃ、なかなか仕事は見つからないよ、と。きちんとオレはこれをやりたいとこういったの、という目的意識がきちんとないと、なかなか雇う方だってなかなか、その気になんないから、だから何がやりたいかということをきちんと、目的意識をはっきり出すようにしないと、就職っていうのは難しい、という話はしました」

民主党など野党3党が提出した「派遣切り」防止策などを盛り込んだ雇用関連4法案は19日午前の参院本会議で民主、社民、国民新の野党などの賛成多数で可決した。自民、公明両党は、同法案の内容は政府が年明けの通常国会に提出する平成20年度第2次補正予算案で対応できるとして反発し、法案採決を棄権した。 野党3党は会期内成立を目指して速やかに衆院に送付し審議、採決することを求めているが、自民、公明両党は反対姿勢のため、衆院での可決、成立は困難な情勢だ。 野党3党が提出した雇用4法案は▽採用内定取り消しの規制▽雇用調整助成金の対象拡大▽雇い止めや解雇で住居を失った派遣労働者への住宅貸与▽雇用保険制度の拡充−が柱となっている。 また、本会議では同案を審議した参院厚生労働委員会の運営が強権的だったとして、与党が提出した厚労委の岩本司委員長(民主党)の解任決議案を採決、野党の反対多数で否決された。 一方、自民党の村田吉隆国対筆頭副委員長は19日の記者会見で、雇用関係4法案について「審議に値しない」と述べ、衆院では次期通常国会へ継続審議扱いとせず、廃案とする意向を示した。